「相棒」までのクールなシーズン

 ひとつよろしいですか? あなたは『相棒』が好きですよね。2クールの『相棒24』が終わってしまって、ちょっぴりさみしいですが、その分、秋からのSeason25が、今から待ち遠しいですよね。

 いつの頃からか、刑事ドラマをはじめとして、テレビドラマは春夏秋冬の四半期を単位として放映されるようになって「クール」と言われ、また、『相棒』に限らず、シリーズものとして、シーズン(Season)+番号で呼ばれるようになってきました。では、「クール」とか「シーズン」ってなんでしょう?

 「クール」とは四半期のことで、語源には諸説ありますが、フランス語のcours(クール=流れ、経過期間)からきたとする説が有力です。テレビドラマは、1月、4月、7月又は10月、つまり春夏秋冬に始まって、それぞれ3か月間、最大11話がひとつの単位です。『相棒』のような人気作品は、年末年始を跨いで6か月間放送されますので、毎年10月からの2クールとなります。

 一方、「シーズン」とは本来は文字通り季節を意味していますが、これはアメリカ合衆国のドラマのシリーズの毎年放映される作品の番号のつけ方に由来しています。英国では「シリーズ」と呼びますし、日本でも80年代までは普通にシリーズと呼んでいました。

 今回は、今日の『相棒』に至る刑事ドラマの変遷とこの関係について見ていきたいと思います。

 日本初の刑事ドラマは、昭和32(1957)年9月3日から昭和39(1964)年9月6日まで日本テレビ系で放送された『ダイヤル110番』(放送時間は時期によって変動、主に火曜日又は日曜日の20時台〜22時台の30分番組)です。このドラマは、アメリカ合衆国で1951年から放送されていた『ドラグネット』(Dragnet,1951年12月14日〜1959年8月23日,NBC)を手本として、当時の警視庁の協力のもと、現実の事件に基づき構成されていました。また、「110番」の普及に貢献したとして、昭和36(1961)年9月5日には警察庁長官賞を受賞しています。このときは、テレビドラマにクールなんて存在していませんでした。

 クールが意識され始めたのは、昭和36(1961)年10月11日から昭和52(1977)年3月30日までNETテレビ(現:テレビ朝日)系で放送された『特別機動捜査隊』(水曜日22時〜23時)からです。この作品も『ダイヤル110番』と同様に、当時アメリカ合衆国で放送されていた『アンタッチャブル』(The Untouchables,1959年10月16日〜1963年5月21日,ABC)の影響を色濃くうけたものです。この作品から10月と4月の現在に続く改編期が顕在化してきます。

 さて、今日では、聡明で洞察力の優れた刑事として、『相棒』の杉下右京警部のイメージが強い水谷豊さんですが、長い俳優人生の中で水谷豊さんが演じた刑事は杉下右京警部だけではありません。

 実は、水谷豊さんは、昭和50(1975)年10月8日〜昭和51(1976)年4月14日にTBSテレビにて放映された『夜明けの刑事』43話〜67話にも、山本宏巡査として刑事役で出演されていますが、何と言っても子役ご出身の水谷豊さんを一躍人気俳優にしたのは『熱中時代』(昭和53(1978)年10月6日〜昭和54(1979)年3月30日、第一シリーズ、金曜日21時、日本テレビ系)でしょう。

 その続編として、『熱中時代・刑事編』(昭和54(1979)年4月7日〜同年10月6日、土曜日21時、日本テレビ系)が『熱中時代』終了後すぐに始まります。同じ『熱中時代』というタイトルを引き継いでいますが、小学校の先生だった主人公である北野広大がそのまま刑事になったわけではありません。世界観の異なるまったく別の作品です。

 水谷豊さんが演じる『熱中時代・刑事編』の主人公である早野武は、お人好しで優しく、やることなすことかチグハグな熱血・新米刑事です。この作品を振り返って、水谷豊さんは、「当時からアクションが好きだったので、アクションも魅せて行きたいと思っていて。仲良しだった松田優作さんが「豊のアクションはアクションを超えている」って言って喜んでくれたぐらい、アクションが好きだったんですよね。」(令和6(2024)年12月13日18:00〜18:06、BS松竹東急)と語っておられます。

 皆さんのお気づきでしょうか。この頃から現在と同じように、秋クールや春クールが存在し、『熱血時代』は春クールからの2クール、『熱血時代・刑事編』は秋クールからの2クールだったことがわかります。

 そして、シーズンですが、これは皆さんご存知ですよね。既にこのブログの「「相棒」のスクリプト」(2025-11-15)で取り上げましたように、『相棒』は毎年秋から2クール、6か月間にわたって放送されて、今年3月にSeason24が終了したところですね。

   ところで、ではなぜシリーズ(続きもの)のことをSeason(シーズン)と呼ぶのでしょうか? 実は、アメリカ合衆国のテレビドラマは、一般に毎年9月に始まり、翌年5月に終了します。つまり、Season(シーズン)とは、まさにドラマがはじまる季節(シーズン)のことなのです。つまり、文字通り、毎年秋からは『相棒』のシーズンなのです。

 では、アメリカ合衆国では、6月から8月は何をしているのかって? 細かいことが気になるもので。実は、その期間はそのシーズンのドラマの再放送の期間なのです。

 なぜですって? その時期は、スタッフもキャストも視聴者も、みんなバカンスだからに決まっているじゃないですか。

 それにしても、渋い『相棒』の杉下右京さんもいいですけど、若い頃の『熱血時代・刑事編』の早野武=水谷豊さんもクール(Cool)でカッコイイですよね。あっ、“ボク”としたことが、ちょっと言い過ぎましたかねぇ。「あ〜あ。お恥ずかっしたらありゃしない。」

 

『熱中時代・刑事編』の主題曲のジャケット・カバー

 

若き日の水谷豊さん、カッコいいですよね ©NTV

 

『熱中時代・刑事編』のキー・ビジュアル ©NTV